さて、オーダーするカスタムIEMも決まったところで、とうとう今回は最終回!
泥沼編・・・!
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じゃなかった。。。
今回はリケーブル編です。
この記事ではカスタムIEM寄りの内容で書いていますが、当然普通の、オーダーメイドではないイヤホンでも共通するところなので、はじめてリケーブルに手を出そうかなーと思っている人に向けて書いてみますね!
リケーブルは、付属のケーブルを取り外し、別のケーブルに付け替えることを想定したケーブルです。
断線したので別のリケーブルに買い換える、というのであれば問題ないですが、ケーブルを変えて音質アップを狙い始めると、もう沼に沈む寸前です。
それはさて置くとして、リケーブルにはコネクタにいくつか規格がありますので紹介します。
メーカー毎に採用している規格は異なりますので、リケーブルを考えるのであれば意識しておきましょう。
まずはイヤホン側のコネクタ規格です。
MMCX
一般的なリケーブル規格の1つです。一般的ではあるのですが、カスタムIEMにおいては採用されていることが少ないです。SHUREなどの一般モデルでは多く採用されており、そこからの乗り換えであればケーブルの流用が可能です。一般的なだけに種類も豊富で、選ぶ楽しみが広がります。
2pin
一般的なリケーブル規格の1つです。カスタムIEMでは多く採用されています。MMCXとは逆で一般モデルでの採用が少ないため、ケーブルの流用はあまり期待できません。ただし種類は豊富にあるので、リケーブルしたいと思いついたときに困ることはありません。
qdc
qdc製カスタムIEMで採用されている規格です。Ultimate Ears(UE)社が初めて採用し、かつてはUE2pinと呼ばれていました。しかしUEが採用をやめてからはqdcのみが採用することこととなりました。UEが採用していたこともあって今はまだ比較的種類はある方ですが、今後どうなるかはわからない状況です。とは言え、MMCXや2pinと比べると探しにくいと言えます。
ピン幅は普通の2pinと同じでかつ極性が逆なだけなので、普通の2pinを逆さにして装着すれば使えるのですが、コネクタ部の形状とケーブルの曲がり方(クセ)次第といったところです。無理な装着は良くないですよ。
JH4pin
スミマセン、No imageです。
Jerry Harvey Audio(JH)製カスタムIEMで採用されている規格です。高音・低音調整ができるユニットが付いていたりします。価格は高めです。JHでしか採用されておらず、リケーブルの種類は多いとは言えません。
UM4pin
スミマセン、No imageです。
Unique Melody(UM)製カスタムIEMで採用されている規格です。形状はJH4pinと似ていますが、互換はありません。最近の規格ということもあり、JH以上に種類は少なめです。
FitEar
FitEar製カスタムIEMで採用されている規格です。2pin、qdc2pinとは全く異なる形状の2pin規格のため、互換はありません。FitEarとFostex製のIEMで採用されています。日本のシェアが高いため、国内で探すのであれば比較的種類は見つけやすいですが、とは言え、qdc2pinと同じく種類が多いというわけではありません。
IPX
スミマセン、No imageです。
Ultimate Earsが採用した新しい規格です。防水性・耐久性を兼ね備えるステージ上のアーティストのことを重視した規格です。コネクタ部が細く、加工が難しいと言われており、本記事執筆時点では純正以外のリケーブルは存在しません。サードパーティ製のリケーブルは登場しない、ということはないと思いますが、種類は相当限られると思います。
2個、3個とカスタムIEMを持つ予定であれば、ケーブルを使いまわすことが出来る2pinをお勧めしますが、カスタムIEMは高いからそんなに買うことはない!と割り切るのであればあまり気にするところではありません。ただケーブル交換はやってみたいと思うのであれば、より種類が豊富な規格を採用しているメーカーをチョイスした方がいいと思います。
ここまではイヤホン側のコネクタ規格についてのお話でしたが、ここではポータブルの音楽プレーヤー側のコネクタ規格について紹介していきます。
3.5mm3極アンバランス
難しい書き方をしていますが、普通のステレオミニ端子です。大抵の音楽プレーヤーに付いていますので説明不要かと思います。
右耳への出力と左耳への出力、そして左右共通のグランド端子の3点で構成されることから3極といいます。アンバランスとは、通常はひとつの出力に対してひとつのグランドがあるのが一般的な電気回路ですが、これは2つの出力に対してひとつのグランドという、不完全回路を表すためアンバランスと呼んでいます。ひとつのグランドで受けきれなかった電気があるとそれがノイズとなります。
2.5mm4極バランス
直径が2.5mmと先ほどの普通のステレオ端子よりも細く、さらに2つの出力に対して2つのグランドが存在するバランス出力に対応している端子です。高級音楽プレーヤーに多く搭載されています。先ほどのアンバランスと比べると完全回路となるため、ノイズが少なく、音に輪郭が出るようになります。
4.4mm5極バランス
スミマセン、No imageです。
最近になって登場した新しいバランス端子の規格です。まだ対応製品は少ないですが、徐々に増えている印象です。ソニーのハイエンド製品を中心として拡充されています。
大きくは上記の3種類うちのいずれかが最近のアッパーミドル級以上の音楽プレーヤーにはあります。他にも3.5mm4極バランスやIRISなんてのもありますが、あまり見かけないので割愛します。持っているプレーヤーに合わせて選択しましょう。
3.5mm4極バランスと同じ形状のもので、マイク付きのイヤホンがありますが、あれはオーディオコントロールのために3.5mm3極アンバランスに1極付け加えてあるだけですので、バランスではありません。3.5mm4極には他にも妙な使われ方がされていることがあるようですのでご注意ください。
最後にケーブルの素材について紹介します。
ここにこだわり始めたらもう沼から抜け出すのは困難です。
大半は銅線です。銅の純度が高い・低いであったり、銅線に銀メッキが施されていたり、独自に別の素材を配合した銅線を用いていたり、ケーブルメーカーによって様々な試行錯誤がなされています。
もちろんメッキとかではなく、銀ケーブルもあります。金メッキが施されたケーブルも存在します。
▼銀線 : AUDIOTRAK Re:Cable SR3 (※終売) ←当時お手頃な銀線だった・・・
音の傾向としては銅の方が柔らかですが、純度の高い銅は突き刺さるような音を含むようになります。
銀は音に輪郭があって、楽器やボーカルなどのそれぞれの音がはっきりする傾向にありますが、少しばかり金属質に感じることがあります。
いずれにしても高けりゃいいというものでもないので(いいんでしょうけど)、自分好みの音が出る組み合わせが一番ですので、ひたすら、こちらも試聴を繰り返しましょう。
たまに○芯(○には数字が入る)という表現がされているケーブルがありますが、これはケーブルの束の数を表していて、芯の数が多いほど音がどっしりとして情報量が増えますが、芯の数が増えると音楽プレーヤーもパワーがあったほうがいいため、スマホではなく、ちゃんとした音楽プレーヤーでの使用をお勧めします。
いかがでしたか?
リケーブルは修理用途だけでなく、イヤホンを手に入れた後に嗜好を変えるための「改造」に近い要素があります。
はじめてのカスタムIEMで手を出すような分野ではないでしょうが、1年くらい使ってみて「ちょっと音変えたいなー」と思ったら、メンテナンスがてらリケーブルをお店で試してみるのも良いかもしれませんね。