前回の内容はこちら。
※初掲載時から「■どのように設定すればいいのか、旧式ウォークマンで設定してみる > 3.各周波数を調整する」の記事を加筆しています。(2017.05.31)
今回は音を変化させる最もコストのかからない方法、イコライザいじりをやってみましょう。
■イコライザとは
Google先生が冒頭に表示する説明文はこのようになっています。
「特定の周波数を上げたり下げたりすることで適切な音質に変える機能のこと」。
EQ(Equalizer)と表記されていることもあります。
まさしくその通りで、自分で音特性を変化させて音を変えることができます。
ウォークマンのように機種によってはBASSやTREBLE専用のパラメータが用意されており、その部分だけを調整できるものもあります。
■どのように設定すればいいのか、旧式ウォークマンで設定してみる
設定の考え方はとてつもなくシンプルです。
ただ自分が好きな音になるパラメータを探せばいいだけです。
ですが、それが難しい。。。
考え方がシンプルなだけに、できることもシンプルなものの集合体のようなものなので、とても奥が深いのです。
それでは自己流ではありますが、イコライザを設定していきます。
サンプルで使用するのは、プレーヤーが10年近く前の旧式ウォークマン「NW-A828」、イヤホンがUltimateEars UE900とリケーブルAUDIOTRAK Re:Cable SR3です。
NW-A828のイコライザは設定できる幅も少なく、分かりやすいので良いと思いました。
1.いつもの音にする
普段聴いている音を出します。
・よく聴く楽曲・ジャンルの音楽
・いつものボリューム
やはり好みの音楽に合わせた設定が良いでしょう。
ボリュームは意外と重要なパラメータです。ボリュームを上げると、イコライザで強調した周波数の音はより大きな音になります。
そうなれば他の音が隠れてしまって音が悪化してしまうことになりかねません。
逆を言うと、大音量で聴く場合はイコライザを使用しないフラットの音が一番いい、ということがあります。
ですので、普段使いの程よいボリュームに合わせておきます。
ここでは、楽曲は適当なアニソンでフォーマットはMP3(192kbps)、ボリュームを8とします。
2.好みのイコライザを選ぶ
ウォークマンには標準であらかじめいくつかイコライザ設定が登録されています。
「ヘビー」「ポップス」「ジャズ」「ユニーク」の4パターンです。
1つの基準点を作るために、この中から一番好みの音が出る設定を選びます。
ここでは「ヘビー」を選択します。
3.各周波数を調整する
ここからが本番です。
まずはヘビーと同じ値をカスタムに設定します。
次に設定可能な周波数ごとに1つ1つイコライザの設定をやっていきます。
場所は静かな場所でね(笑)
具体的には各パラメータを上げたり下げたりして一番好きな音が出る設定を探るだけです。
低音をもっと強めたい場合は、0.4kHz~1kHzを上げます。
高音をもっと出したい場合は、6.3kHz~16kHzを上げます。
ボーカルを強調したい場合は、0.4kHz~2.5kHzを上げるか、6.3kHz~16kHzを下げます。
注意点としては、レベルを上げすぎると音が崩れることがあることです。最大値設定は大なり小なり変な音になっていると思った方が良いです。「全部MAXになった!」なんてのはあまりいい音になっていません。きっといろいろ崩壊した後なので、いい音と思うのは気のせいです。そうなるくらいならイコライザをオフにして、ボリュームを数段上げた方が良いと思います。
ちなみにどんな音かというと、違和感のある音、具体的には「サー」といった感じのノイズが極端に増え始めたり、ハウリングしたり、他の音を邪魔するような音になっています。
この設定値を超えて上げると音質は悪くなる一方ですが、感覚的にはもっとレベルを上げたいと思うこともあるかもしれません。
私は高音を強調したくなり、最初はこんな感じになりました。
これは何とかしなくては・・・!
そんなときはボリュームを1~2上げ、イコライザも、全て変える必要はありませんが、高音を中心に全体的に1dbずつ下げます。
そうするとボリュームを上げる前の音の感じがおおよそそのままボリュームを上げても同じになっています。
私の場合はボリュームを10として、1kHz以上を1下げました。
これを設定可能な各周波数でやっていきます。
それで、最終的にこのようなパターンに落ち着きました。
いくつか検証しましたが、BOSEのようなアメリカメーカーに多いの重低音重視系のものにマッチする設定です。
ただこれだと今回SR-3という銀線を使っているせいか、結構アタック感が強いので、全体的に聴きやすくしたような設定を目指すと下のようになりました。
この場合は日本メーカーのイヤホンにもマッチする気がします。
SONY MDR-EX90SLで検証したところでは、6.3kHzは1db下げてもいいかな、というところでした。
[2017.05.31 加筆]
ちなみに・・・
設定が終わった後は「これだ!」という納得感を持ってしまうものですが、それはいろいろな音を聴きすぎて目指したかった音の判断がつかなくなっている状態かもしれません。
設定したイコライザが果たして良くなったのかどうかを確認するためには、一度「2」で選んだデフォルトのイコライザ設定に戻してみることです。
「デフォルトの音の方がいいんでは?」と思った瞬間、設定は失敗です。。。orz
4.ボリュームを上げるor下げる
普段ボリューム10というのは、あくまで外出した際、電車内などで音漏れしないよう考慮したボリュームです。
でも実際はもっとボリュームを上げるシーンやもっと小さい音で聴く必要があるシーンは多々あると思います。
ボリュームを上げる場合は、イコライザ設定を高音を中心として全体的に1db下げたうえでボリュームを上げます。
大音量時は、最終的にはイコライザ無効時に近いか、マイナス設定が目立ってくると思います。
ボリュームを下げる場合は、上げる場合とは逆で全体的にイコライザ設定を+1dbします。
ポータブルの音楽プレーヤーにおけるイコライザ機能は、低音量時にいかにいい音を保つか、大音量時はいかに余計な音を削ぎ落とすか、という機能だと私は考えています。
5.【番外編】外出する
外出すると、音漏れだけではなく、外の音が中にも入ってきます。
外というのは低音が多く、せっかくイコライザを設定しても外の低音に負けて中音~高音がメインのシャカシャカと軽い音になりかねません。
なので、外出を意識する場合は、わざと0.4~1kHzを高めに設定しておきます。BASS機能を効かしておくのも良いです。
静かな場所で聴くとここまで重くなくてもいい! というレベルで電車内ではちょうど良くなります。
さて、ここまでやってきましたが、実際のところNW-A828なんていう世代の機種を使っている人はもう少ないと思います。
現行機種のNW-A30シリーズがこのモデルの最新機種になります。
基本的に音作りの方向性は変わっていないと思いますので、このイコライザ設定も近いものが適用できると思います。
かなり設定できる幅は増えているようですが、そこはそれぞれのポイントを曲線でつなげるように設定すれば近い感じになるかなーと。
そこからのチューニングは、 ・・・楽しんで♪
■【上級者向け】1世代前 ONKYO「DP-X1」で設定してみた
1世代前のものになってしまいますが、ベストセラーとなったエントリープレーヤー「ONKYO DP-X1」でも設定してみたことがあります。
DP-X1はエントリークラスの音楽プレーヤーですが間違いなくポテンシャルは高いプレーヤーです。
ポテンシャルは高いですが、それを引き出すことのできるイコライザ設定の難易度はかなり高いです。
その理由は、約20もの周波数帯(固定2個、自由設定18個(←これが上限かどうかは不明))を自由に選択でき、レベルも±12dbの間を0.1db単位で自由に選択できるからです。相当アナログな感じのイコライザです。
タッチパネルで設定するため、最初は操作に慣れるまで試行錯誤が必要ですが、簡単に操作を説明すると、設定したい場所をタップするとそこが1つの設定値として点が登録されるので、設定したい場所をタップするだけです。(32Hzと32kHzは固定帯域のため、新規登録はできません。)
私がやってみたところ、小道具なしであれば18個の値を設定することができました。点をドラッグして動かせば自由に設定値を変えられます。また点の位置で曲線の曲がり方が変わります。この自由さが難しさの理由です。
隣の点とおなじ周波数帯へドラッグすると点は結合して1個設定値が消えます。
これの操作方法を理解したうえで、チューニングしていきます。
設定方法はNW-828と同じように、基準となるイコライザ設定を選び、それをチューニングしていきます。
そして出来上がった設定はこちら。
すみません、イヤホンはUE18Proで設定しています。UE900と音の傾向は似ているので、ほぼそのまま使えると思います。
また音源もFLAC(44.1kHz/16bit)を使用しています。
ちなみに、SHUREのSRH940でもやってみました。それがこちら。
いずれもいくらのボリュームで設定したか忘れてしまいましたが、ボリュームを上げる場合は2kHz以上を中心に低くすれば大丈夫です。
最悪は、全体をつまむことができるので、全体を一気に下げることもできます。
■【上級者向け】現行機 Astell&Kern「AK380」で設定して・・・
・・・設定してません。
DP-X1並みに設定が柔軟すぎて時間がいくらあっても足りません。。。(ちょっと疲れた・・・)
標準で登録されている設定で現状満足しているので、今はそれを使っています。
仮に設定を探すにしても、今のイコライザ設定がどのような設定値かが分からなくしてあるので、この設定がどのようなパラメータかを見極めるところから始めて、それをベースにいじっていきたいと思います。
■イコライザ編終了
これらはあくまでRΛPTORの好みの設定なので、あくまで参考程度にお願いしますね。
自分で音作りというのは難しいですが、自分だけの音が作れるので面白いです。
もしかしたら思わぬ音に出会うかもしれませんし。
さて、イコライザの回はとりあえずここで終了です。
次回は何をテーマにするかは、まだ決めてません! 悪しからず。。。
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